退職の伝え方|切り出す順番と時期、法律で決まっていること

辞め方と選び方公開:2026年10月2日編集:しごとのてびき編集部
会議室で上司と向かい合って話をしている人のイメージ写真。

※画像はイメージです。手続きの進め方は、勤務先の就業規則によって異なります。

退職を切り出すときに迷いやすいのは、誰に、いつ、どこまで話すかです。期間の取り決めには公的なよりどころがあり、期間の定めのない雇用では原則として2週間前までに申し入れることとされています。ここでは、伝える順番と時期の決め方、伝える場で決めておくこと、引き止められたときの考え方を、厚生労働省の資料と法律の条文をもとに整理します。

伝える相手は直属の上司から

最初に伝える相手は、直属の上司にするのが基本です。人事部や上司のさらに上の役職に先に話すと、上司が後から知ることになり、引き継ぎの段取りを組み直す手間が増えます。同僚に先に打ち明けるのも、本人が伝える前に話が広がる原因になります。

伝える場は、立ち話ではなく時間を取ってもらう形にします。「ご相談したいことがあるので、15分ほどお時間をいただけますか」と先に打診し、人の出入りがない部屋か、オンラインなら1対1の設定にします。繁忙期の締め日や会議の直前は避け、落ち着いて話せる時間帯を選びます。

打診のときに退職とまで言うかどうか
打診の段階では「相談したいことがある」にとどめて構いません。ただし、上司が評価面談や相談事と受け取ったまま当日を迎えると、話が噛み合わないことがあります。今後の働き方についてという程度は添えておくと、相手も時間を確保しやすくなります。

いつ伝えるか——法律と就業規則

期間の定めのない雇用では、退職の申し出について原則として2週間前までに申し入れることと定められています(民法627条1項)。厚生労働省の解説でも、申し入れから2週間を経過すれば退職の効力が生じると説明されており、会社の承諾は要件になっていません。

一方で、多くの会社は就業規則に申し出の期間を定めています。労働局の案内では、就業規則に退職の申出期間についての定めがあり、その期間が社会通念上著しく長期間でない場合(例えば、1ケ月前までの申出を規定している場合など)には、トラブル防止のために、まずは、就業規則の定めにそった申出をした方がよいでしょうとされています。まず就業規則の「退職」の条項を確認し、そこに書かれた期間から逆算して日を決めるのが現実的です。

契約の形申し出の取り決め
期間の定めがない原則2週間前(民法627条1項)。就業規則に1か月前などの定めがあれば、まずはそれに沿う
完全月給制遅刻・欠勤でも賃金が控除されない純然たる完全月給制では、締切日までの1ケ月の前半までに申し入れるよう規定されている
期間の定めがある契約期間満了前に退職しようとする場合には、やむを得ない事由がなければなりません(民法628条)。ただし1年を超える契約では、1年を経過した日からはいつでも退職できることとされている(労働基準法137条)

※完全月給制の扱いは、賃金の計算期間との関係で定められているものです。自分の給与がこれに当たるかは、給与明細や賃金規程で確認してください。

切り出し方の順番

伝える場では、話す順番を決めておくと短く済みます。結論→時期→理由の順にすると、相手が確認したいことに先に答えられます。

この段階では、転職先の社名や条件まで話す必要はありません。聞かれたときに答える範囲を自分で決めておくと、話が広がりすぎずに済みます。

伝える場で決めておくこと

最初の面談で日程まで固められると、その後のやり取りが減ります。次の4点を手元に用意しておきます。

有給休暇は退職日までの範囲で調整する

残っている年次有給休暇をいつ取るかは、退職日と合わせて決める必要があります。会社には休暇の日をずらす時季変更権がありますが、労働者の退職期日以降に時季を変更することはできないので、労働者の請求どおり与えなければならないとされています。つまり、変更できるのは退職日までの範囲に限られます。

調整できる範囲が退職日までである以上、残日数が多いときは、退職日そのものを決める前に日数を確認しておくほうが、相談の幅が広がります。先に退職日だけを決めてしまうと、あとから日数が足りないことに気づいても動かしにくくなります。

引き止められたときの考え方

退職を伝えたあと、慰留されることは珍しくありません。待遇や配置の見直しを提案された場合は、その条件なら残るのかを自分の中で先に決めておきます。決めずに持ち帰ると、結論の出ない面談が繰り返されます。

一方で、会社が認めないという理由だけで退職できなくなるわけではありません。前述のとおり、期間の定めのない雇用では申し入れから2週間を経過すれば退職の効力が生じるとされています。退職日を一方的に遅らせられた、話し合いに応じてもらえないといった状態が続くときは、総合労働相談コーナーや労働基準監督署といった公的な窓口に相談できます。

※個々の事情によって結論は変わります。契約内容や経緯によっては判断が分かれることもあるため、実際の手続きは勤務先の就業規則を確認し、必要に応じて上記の窓口にご相談ください。

伝え方で避けたいこと

まとめ

退職の伝え方は、直属の上司に、時間を取ってもらった場で、結論から伝えるのが基本の形です。時期は就業規則の申し出期間から逆算して決め、期間の定めのない雇用では原則として2週間前までに申し入れるというよりどころがあることを知っておくと、日程の相談がしやすくなります。有給休暇の調整は退職日までの範囲で行うことになるため、退職日を固める前に残日数を確認しておきます。

出典
  1. 厚生労働省「退職・解雇・雇止め|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」(2026-10-02確認)
  2. 厚生労働省 茨城労働局「退職を申し出たが、辞めさせてもらえない」(2026-10-02確認)
  3. 厚生労働省 沖縄労働局「労働相談事例 年休Q1」(2026-10-02確認)