※画像はイメージです。給与の水準や手当の内訳は、勤務先によって異なります。
保育士の給与は、国の統計で毎年公表されています。令和6年の調査では、保育士のきまって支給する現金給与額は月27万7,200円、年間賞与その他特別給与額は74万1,700円でした。ここでは、月額の内訳・全産業平均との差・近年の処遇改善の仕組み・求人の状況を、厚生労働省とこども家庭庁の資料から整理します。
令和6年賃金構造基本統計調査の職種別の集計では、保育士のきまって支給する現金給与額は月27万7,200円となっています。このうち残業代などを除いた保育士の所定内給与額は月27万300円です。賞与は年単位で集計され、保育士の年間賞与その他特別給与額は74万1,700円でした。
| 項目 | 金額・値 |
|---|---|
| きまって支給する現金給与額 | 月27万7,200円 |
| 所定内給与額 | 月27万300円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 74万1,700円 |
| 平均年齢 | 39.5歳 |
| 平均勤続年数 | 8.6年 |
| 所定内実労働時間数 | 月162時間(超過実労働時間数は月3時間) |
あわせて、保育士の平均年齢は39.5歳、保育士の平均勤続年数は8.6年、保育士の所定内実労働時間数は月162時間、超過実労働時間数は月3時間でした。集計の対象となった保育士は31万7,600人です。
※厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」の職種別集計(一般労働者・男女計・企業規模10人以上・産業計)より。パートタイム労働者は含みません。この調査は年収を公表していないため、12か月分と年間賞与を足した「約407万円」は単純計算の値です。
男女別では、男性保育士は平均年齢37.0歳・勤続7.4年・きまって支給する現金給与額29万9,600円・年間賞与79万3,300円、女性保育士は平均年齢39.7歳・勤続8.7年・きまって支給する現金給与額27万5,600円・年間賞与73万8,000円でした。集計対象は男性2万980人、女性29万6,620人です。
他の仕事と比べるときは、比べる条件をそろえた公表値を使うのが確実です。こども家庭庁の資料では、令和6年の職種別平均賃金(役職者除く・月収換算)は、保育士32.9万円に対し全産業38.6万円となっています。差は5.7万円です。
ここでの「月収」の定義も明記されています。この「月収」とは、きまって支給する現金給与額に年間賞与その他特別給与額の1/12を足した額であり、いずれも一般労働者の男女で役職者を除いた数値です。賞与を月割りで含めているため、前の章の月額(27万7,200円)より大きい数字になります。
この水準は動いています。保育士の月収換算は平成24年の26.3万円から令和6年の32.9万円まで推移しています。10年あまりで6.6万円上がった形ですが、こども家庭庁自身も保育士の平均賃金は全産業平均を下回るとしており、差は残っています。
※比較は、算出方法が注記されているこども家庭庁の公表値をそのまま引用しています。賃金構造基本統計調査の職種別表は民営・公営の区分が明示されていないため、同表の数値を全産業平均と直接引き算する形は取っていません。
保育士の給与が上がってきた背景には、国が公定価格(施設に支払われる運営費の単価)に上乗せしてきた処遇改善があります。こども家庭庁の資料では、保育士等の処遇改善は、平成25年度以降累計で34%の改善を実施しているとされています。
直近で大きかったのは令和6年度の改定です。令和6年人事院勧告を踏まえ、保育士等の公定価格上の人件費を+10.7%改善したとされ、これは公定価格の保育士等の人件費について過去最大の改善と説明されています。令和7年度予算では、令和6年度補正予算で措置した+10.7%の改善を引き続き確保しているとされています。
なお、この令和6年人事院勧告に伴う人件費の改定率10.7%は令和6年12月に適用しており、令和6年の保育士の賃金には影響していないと注記されています。つまり前の章の27万7,200円という数字には、この改善はまだ反映されていません。
その前の段階では、3%程度(月額9千円)の処遇改善は令和4年2月から実施しているとされています。公定価格の人件費は人事院勧告に合わせて改定されており、令和3年人勧に伴う▲0.9%は令和4年4月、令和4年人勧の2.1%は令和5年2月、令和5年人勧の5.2%は令和5年12月に適用されています。
施設に支払われる処遇改善の仕組みは、令和7年度に組み替えられています。保育所等の処遇改善等加算は、令和7年度から、それまで処遇改善等加算I・II・IIIの3つあった加算を統合するとともに、加算額の配分の柔軟化や賃金改善の確認方法等の見直しを行ったとされています。
見直し後は「区分1(基礎分)」「区分2(賃金改善分)」「区分3(質の向上分)」の3区分になりました。旧加算Iの基礎分が区分1、旧加算Iの賃金改善要件分と旧加算IIIが区分2に統合され、旧加算IIが区分3に当たります。
| 区分 | 対象と内容 |
|---|---|
| 区分1(基礎分) | 全職員が対象。加算率は職員の平均経験年数(0〜10年以上)に応じて2〜12%。勤続年数等を基準とする昇給等に充てる |
| 区分2(賃金改善分) | 全職員が対象。加算率は6%(平均経験年数が11年以上なら7%)に、職員1人当たり9,000円相当の改善分を加えて設定 |
| 区分3(質の向上分) | 副主任保育士・専門リーダー等に月額4万円、職務分野別リーダー・若手リーダー等に月額5千円の改善を行う |
区分3には経験年数と研修の要件があります。区分3の対象となる副主任保育士等は概ね7年以上の経験年数、職務分野別リーダー等は概ね3年以上の経験年数を有し、別に定める研修を修了していることが要件です。
手取りに関わる点として、区分2・区分3では、加算額の1/2以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善する必要があります。賞与や一時金だけで配るのではなく、半分以上は毎月の給与に反映される仕組みです。
※「処遇改善等加算I/II/III」という呼び方は令和6年度までの名称です。令和7年4月11日付の通知「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」により、令和7年度以降は上記の3区分になっています。
給与と並んで働き方に直結するのが、子ども何人を職員1人で見るかという配置基準です。令和6年度に、4・5歳児の職員配置基準が30対1から25対1へ改善されたほか、3歳児の職員配置基準も20対1から15対1へ改善されました。施行期日は令和6年4月1日です。
ただし移行には猶予があります。経過措置として、条例制定主体である都道府県等が教育・保育の提供に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、当分の間、従前の基準が効力を有するとされています。実際の達成状況は、令和6年7月1日時点で3歳児15対1を満たしている施設は全体の96.2%、4・5歳児25対1を満たしている施設は全体の94.4%でした。
1歳児についても進んでいます。1歳児については、2025年度以降、6対1から5対1への改善を進めるとされ、令和7年4月から公定価格上の加算措置として「1歳児配置改善加算」が新設されました。
求人の出方も、条件を考えるときの材料になります。こども家庭庁の資料では、直近の令和7年7月の保育士の有効求人倍率は2.77倍で、全職種平均の1.18倍と比べて高い水準で推移しているとされています。
地域差は大きく、都道府県別で最も高いのは栃木県6.65倍、次いで広島県5.38倍、福井県5.17倍、東京都4.28倍。最も低いのは高知県1.35倍、次いで秋田県1.38倍(いずれも令和7年7月時点)でした。
募集が多いことは、条件を比べて選べる余地があることを意味します。一方で、求人が多い状態が続いていること自体は、人が定着しにくい面があることの裏返しでもあります。保育士の平均勤続年数は8.6年という数字と合わせて見ると、職場ごとの違いを確かめる価値が分かります。
※有効求人倍率は時点によって変動します。公表されているのは各年7月時点などの数値で、年平均ではありません。
保育士の給料は、令和6年の統計できまって支給する現金給与額が月27万7,200円、年間賞与が74万1,700円です。比較条件をそろえた月収換算では保育士32.9万円に対し全産業38.6万円で、差は残っていますが、平成24年の26.3万円から上がってきています。令和6年度には公定価格の人件費が+10.7%改善され、これは令和6年の統計には反映されていません。求人は令和7年7月時点で2.77倍と多く、職場を比べて選ぶ余地があります。