※画像はイメージです。実際の配置は施設の方針や加算の取得状況によって異なります。
保育士の配置基準は、2024年度(令和6年度)に4・5歳児が30対1から25対1へ、3歳児が20対1から15対1へ改善されました。ただし当分の間は従前の基準で運営してもよいという経過措置が同時に置かれています。ここでは年齢ごとの基準、改正の中身、実際にどれくらいの施設が新しい基準で運営しているかを、法令とこども家庭庁の資料から整理します。
保育所の職員配置は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第33条第2項に定められています。条文はこう書かれています。
「保育士の数は、乳児おおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上、満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね十五人につき一人以上、満四歳以上の幼児おおむね二十五人につき一人以上とする。ただし、保育所一につき二人を下ることはできない。」
| 年齢 | こども何人につき保育士1人 |
|---|---|
| 0歳(乳児) | おおむね3人に1人 |
| 1歳以上3歳未満 | おおむね6人に1人 |
| 3歳以上4歳未満 | おおむね15人に1人 |
| 4歳以上 | おおむね25人に1人 |
読むときに外せないのが「おおむね」と「保育所一につき二人を下ることはできない」の2つです。前者があるため端数の扱いに幅があり、後者があるため、こどもが少ない園でも保育士が1人だけになることはありません。
こども家庭庁の資料は、改正をこう説明しています。「令和6年度には、『こども未来戦略』(加速化プラン)に基づき、制度創設以来76年ぶりに、4・5歳児の職員配置基準について、30対1から25対1への改善を図ったところ(3歳児の職員配置基準もあわせて20対1から15対1へ改善)」。
| 年齢 | 従前の基準 | 新たな基準 |
|---|---|---|
| 3歳児 | 20対1 | 15対1 |
| 4・5歳児 | 30対1 | 25対1 |
あわせて「4歳以上児配置改善加算」が新設され、「30:1の配置に要する経費と、25:1の配置に要する経費との差額に相当する金額を加算する」仕組みになっています。3歳児については、「平成27年度より『3歳児配置改善加算』を措置している(令和4年度の加算取得率:約90%)」とされており、加算自体は改正より前から動いていました。
ここが本記事でいちばんお伝えしたい点です。改正と同時に経過措置が置かれています。
こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)はこう書いています。「2024年度から、制度発足以来75年間一度も改善されてこなかった4・5歳児について、30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設ける。また、これと併せて最低基準の改正を行う(経過措置として当分の間は従前の基準により運営することも妨げない。)」
こども家庭庁の資料でも、「人材確保に困難を抱える保育の現場に、混乱が生じないよう、当分の間は、従前の基準により運営することも妨げないとする経過措置を設ける」とされています。
こども家庭庁は、全国の市区町村を通じて実施状況を調べています。調査は「全ての幼稚園・保育所・認定こども園を対象として全国の市区町村を通じて実施」され、有効回答のあった約3万施設をまとめたものです。
その結果、「7月1日時点の配置改善の実施状況は、3歳児は全体で96.2%、4・5歳児は全体で94.4%の実施率」と報告されています(令和6年7月1日時点)。
経過措置はあるものの、実際にはほとんどの施設が新しい基準で運営しているというのが実態です。裏を返せば、残りの数%は従前の基準のままということになります。
※この数値は施設種別ごとの内訳も公表されていますが、本記事では資料本文に明記された全体の実施率のみを引用しています。
次に動くのが1歳児です。こども未来戦略は「2025年度以降、1歳児について、保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間中の早期に6対1から5対1への改善を進める」としています。
令和7年度は、最低基準の改正ではなく加算という形で始まりました。「1歳児の職員配置を5:1以上に改善した場合に、加算する(令和7年4月~)」という「1歳児配置改善加算」が新設され、予算は109億円です。
ただし対象には条件があります。
資料には「以下の全てを満たす事業所」と書かれており、3つすべてを満たす必要があります。あわせて配置基準が既に5対1以上である小規模保育C型・家庭的保育・居宅訪問型保育は対象外とされています。つまり1歳児5対1はすべての園で進むわけではありません。
こども家庭庁の資料には、1948年(昭和23年)から現在までの変遷表が載っています。それを追うと、4・5歳児の30対1は1948年の制度創設時からずっと変わっていなかったことが分かります。
0〜2歳児は段階的に手厚くなってきました。0歳児は1948年の10対1から、1969年以降に6対1、1998年以降は3対1です。1〜2歳児も1948年の10対1(2歳児は30対1)から6対1まで改善されています。
いっぽう3歳児は1969年から2023年まで20対1、4・5歳児は制度創設から2023年まで30対1のままでした。2024年度の改正は、この年齢層にとって初めての改善だったことになります。
配置基準は「最低限これを下回ってはいけない」という線であって、目標値ではありません。実際の働きやすさを知るには、求人票や面接で次を確かめるのが現実的です。
給与の水準とあわせて見ると判断しやすくなります。月額や賞与の実額は保育士の給料にまとめています。
保育士の配置基準は、法令上0歳児3対1・1〜2歳児6対1・3歳児15対1・4歳以上25対1です。2024年度に3歳児と4・5歳児が改善されましたが、当分の間は従前の基準で運営してよい経過措置が併置されています。実施率は3歳児96.2%・4・5歳児94.4%(令和6年7月1日時点)で大半の施設が対応済みですが、制度の数字と自分の職場の実態は別です。1歳児の5対1は令和7年4月から加算として始まり、3つの条件を満たす施設が対象です。
※本記事は法令およびこども家庭庁の公開資料を編集部が整理したもので、個別の施設の運営状況を示すものではありません。基準や加算の内容は改正されることがあります。最新の内容はこども家庭庁の公表資料でご確認ください。