睡眠の質を上げる方法は?厚生労働省の睡眠ガイドでわかる6つの見直し

インナーケア公開:2026年10月16日編集:キレイジャーナル編集部
朝の光が差し込む寝室で、カーテンを開けて目覚める様子のイメージ写真。

※画像はイメージです。眠りの感じ方や必要な睡眠時間には個人差があります。

睡眠の質を上げる方法として公的に整理されているのは、睡眠時間を確保したうえで、光・入浴・寝室の環境・嗜好品の摂り方を見直すという順番です。ここでは厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月)の記述にしぼって、成人向けの目安を整理します。眠れない状態が続くときの相談の目安も最後にまとめました。

そもそも「睡眠の質」とは何を指すのか

睡眠ガイドは、眠りの良し悪しを「睡眠休養感」という言葉で扱っています。眠って休めた感覚があるかどうか、という意味です。成人向けの推奨事項では、睡眠環境、生活習慣、嗜好品の摂り方などを見直して、睡眠休養感を高めることが挙げられています。

つまり「質を上げる」とは、特別なことを足すより、眠りを妨げている要素を一つずつ減らしていく作業に近いものです。睡眠ガイドは、睡眠休養感が低い要因として、睡眠不足に加えて、仕事などによる日中のストレス、就寝直前の夕食や夜食・朝食抜きなどの食習慣の乱れ、運動不足、歩行速度の遅さなどの運動習慣の不良などを挙げています。

土台になるのは睡眠時間

質の話に入る前に、量の確認が先にきます。睡眠ガイドは、成人についておおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるように努めることが推奨されるとしています。

ただし適正な睡眠時間には個人差があり、6時間未満でも睡眠が充足する人もいれば、8時間以上の睡眠時間を必要とする人もいますと、はっきり注記されています。時間はあくまで目安で、日中の状態とあわせて考えるものという位置づけです。

項目睡眠ガイド2023の記述
成人の適正な睡眠時間おおよそ6〜8時間
確保に努めたい下限少なくとも6時間以上
個人差6時間未満で足りる人も、8時間以上必要な人もいる

現状との差も示されています。令和元年国民健康・栄養調査の結果として、20〜59歳の各世代で睡眠時間が6時間未満の人が約35〜50%を占め、5時間未満に限っても約5〜12%と紹介されています。質の工夫をする前に、まず削れている時間がないかを見るのが順番です。

見直し① 朝と日中の光

睡眠ガイドは、光を最初の手がかりに挙げています。起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされ、睡眠・覚醒リズムが整い、脳の覚醒度は上昇しますとされます。さらに日中に光を多く浴びることで夜間のメラトニン分泌量が増加し、体内時計が調節され、入眠が促進されますとあり、これらの効果は1,000ルクス以上の照度の光を日中に浴びることで得られると書かれています。

やることは単純で、朝起きたら部屋に朝日を取り入れる、日中はできるだけ日光を浴びるの2つです。夜の寝つきを変えたいとき、手をつける場所が夜ではなく朝側にある、というのがこの項目の要点です。

見直し② 寝る前の光と、寝室の暗さ

夜側は逆に、光を減らす方向です。睡眠ガイドは寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながるとしています。低い照度の光でも中途覚醒が増えるという記述もあり、豆電球のような弱い明かりも対象に入ります。

寝室にスマートフォンを置かないのは、通知や画面を見る習慣ごと寝室から外すという意味でもあります。目覚まし代わりに使っているなら、置き場所を変えるところから試すのが現実的です。

見直し③ 入浴のタイミングと室温

入浴は、時間帯が具体的に書かれています。就寝の約1〜2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなるとされ、寝室は暑すぎず寒すぎない温度が良いとされています。夏についてはエアコンを使って寝室を涼しく保つことが挙げられています。

寝る直前に熱い湯に入るほど良い、という書かれ方ではありません。寝る1〜2時間前に済ませておくという時間の設計がポイントです。

見直し④ カフェイン・お酒・たばこ

嗜好品については、量と時刻の両方が示されています。睡眠ガイドはカフェインの摂取量は1日400mg(コーヒーを700cc程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性があるとし、1日のカフェインの摂取量合計は400mgを超えないようにしましょうと書いています。さらにカフェインの夕方以降の摂取は、夜間の睡眠に影響しやすいとされます。

お酒とたばこも同じ章で扱われています。晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は、睡眠の質を悪化させる可能性がある、喫煙(紙巻きたばこ、加熱式たばこ等のニコチンを含むもの)は、睡眠の質を悪化させる可能性があるという記述です。

別の章では、覚醒作用を有する嗜好品の摂取(カフェイン、ニコチン)、過度の飲酒や睡眠薬代わりの寝酒は、入眠困難や中途覚醒を引き起こし、睡眠休養感を低下させますと、ここまでの話がまとめられています。

見直し⑤ 食事と運動、そして塩分

生活習慣の側では、就寝直前の夕食や夜食、朝食抜きなどの食習慣の乱れと運動不足が、睡眠休養感を下げる要因として並べられています。どちらも睡眠だけのための習慣ではないぶん、後回しになりやすい部分です。

意外に見落とされるのが塩分です。睡眠ガイドは塩分の過剰摂取も夜間頻尿を生じ中途覚醒を増加させうるため、食塩の多い食生活にも注意が必要ですとしています。夜中に目が覚める回数が気になる場合は、ここも見る価値があります。

見直し⑥ それでも改善しないときの線引き

ここが最も大事な部分です。睡眠ガイドの成人向け推奨事項には、睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意すると書かれています。

具体的には、加齢に伴い様々な睡眠障害の発症率が上昇することが挙げられ、特に50歳代より徐々に不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害などの睡眠障害が出現しやすくなりますとされています。

生活の見直しで足りないときは、医療機関へ。 入眠困難や中途覚醒、日中の強い眠気が長く続くときは、環境や習慣の工夫だけで抱え込まず、かかりつけ医や睡眠を扱う医療機関にご相談ください。更年期の時期の眠気については、別の記事で扱っています。

まとめ

睡眠の質を上げる方法は、睡眠ガイド2023に沿って並べると①朝と日中に光を浴びる ②寝る前の光を減らし寝室を暗くする ③就寝1〜2時間前に入浴し室温を整える ④カフェインは1日400mgまで・寝酒とニコチンは避ける ⑤食事と運動、塩分を見直す ⑥続くときは医療機関に相談するの6つになります。前提として成人は6時間以上、おおよそ6〜8時間という時間の目安があり、質の工夫はその上に乗るものです。

※本記事は厚生労働省の公開資料を編集部が整理したもので、医学的な診断や治療の代わりになるものではありません。必要な睡眠時間や眠りの感じ方には個人差があります。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。

出典
  1. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月)(2026-10-16確認)