ほうれい線の消し方は?化粧品にできることと医療との線引き

エイジングケア公開:2026年10月16日編集:キレイジャーナル編集部
洗面台の鏡の前で、頬に手を添えて肌の状態を確かめている女性のイメージ写真。

※画像はイメージです。肌の状態や見え方には個人差があります。

ほうれい線の消し方を調べると、強い言い切りの表現が並びます。ただ化粧品が広告で表示できる効能は、厚生労働省の通知で範囲が決まっています。シワに触れられるのは「乾燥による小ジワを目立たなくする」の1項目だけで、しかも表示には条件があります。ここでは、化粧品にできること・できないことと、紫外線や保湿という土台、医療機関に相談する線引きを、通知の原文にあたって整理します。

「ほうれい線」という言葉の位置づけ

ほうれい線は、鼻の脇から口元にかけて出る線を指す呼び方として広く使われています。ただし今回参照した公的資料(厚生労働省の通知、環境省のマニュアル)に、この語の定義は見当たりませんでした。医学的な病名や、行政が定義した用語ではなく、見た目を表す日常語として流通している言葉だと考えるのが実際に近いところです。

言葉の位置づけがはっきりしないぶん、「消す」が何を指すのかも人によって違います。線そのものを無くすことなのか、乾燥でできた細かいシワを目立たせないことなのか、影の出方を変えることなのか。ここを分けないまま商品を比べても、判断の軸が決まりません。

化粧品が表示できる効能は56項目で決まっている

化粧品が広告や表示でうたえる効能の範囲は、厚生労働省の通知で別表として定められています。現行の形は、平成23年7月21日付け薬食発0721第1号「化粧品の効能の範囲の改正について」(厚生労働省医薬食品局長通知)によるもので、別表第1に56項目が並んでいます。

同じ日に出された課長通知は、この範囲の扱いをこう書いています。「化粧品の効能として表示し、広告することができる事項については、局長通知別紙の別表第1に掲げる化粧品の効能の範囲とし、かつ当該製品について該当する効能の範囲であること。」。つまり、この別表にない効能は、化粧品の効能として書けないということです。

※効能そのもの以外に、メーキャップ効果や使用感の表示は別扱いです。課長通知は「これらの効能以外のメーキャップ効果及び使用感等を表示し、広告することは事実に反しない限り認められる」としています。

シワに触れられるのは1項目だけ

56項目のうち、シワという言葉が出てくるのは最後の1つです。「(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。」。これは2011年の改正で追加された項目で、それ以前は55項目でした。

読み方が大事なところです。対象は「乾燥による」「小ジワ」に限られ、できることは「目立たなくする」までです。シワ全般でもなければ、消す・無くすでもありません。

さらに、この効能をうたうには条件があります。課長通知は、「製造販売業者の責任において、日本香粧品学会の『化粧品機能評価法ガイドライン』の『新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン』…に基づく試験又はそれと同等以上の適切な試験を行い、効果を確認すること」としています。商品パッケージで見かける「効能評価試験済み」という表記は、この裏づけを示すものです。

比べるときの目安。 「乾燥による小ジワを目立たなくする」と書けている商品は、その表示のための試験を行っているということです。逆に、別表にない強い言葉だけが並んでいる場合、根拠の有無は表示からは読み取れません。課長通知は、消費者から効能の根拠を求められたときに資料の概要を提示して説明する体制を整えるよう製造販売業者に求めています。

「消す」「若返る」が広告に出てこない理由

別表を通して読むと、肌に関する項目は次のような書き方で並んでいます。「(20)肌のキメを整える。」「(24)皮膚にうるおいを与える。」「(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。」「(28)皮膚の乾燥を防ぐ。」「(30)肌にはりを与える。」。いずれも整える・与える・保つ・防ぐという動詞で、何かを取り去る書き方になっていません。

そのため、「シワを消す」「若返る」といった表現は、化粧品の効能としては別表の中に存在しません。広告でこうした言葉を見かけないのは、商品の力の問題ではなく、表示できる範囲がそもそもそこまでと決まっているためです。

※この記事でいうエイジングケアとは、年齢に応じたお手入れという意味です。肌が年齢を重ねる前の状態に戻ることを指すものではありません。

土台になるのは紫外線対策

年齢による肌の変化のうち、対策がはっきりしている要素が紫外線です。環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」は、「長年日光を浴び続けていると、皮膚のシミやしわ、ときには良性、悪性の腫瘍が現れてきます」とし、こうした変化は「生理的な加齢に加えて、紫外線による慢性傷害によって生じる光老化の結果でもあります」と説明しています。

そのうえで、「光老化は加齢による自然の老化とは異なり、適切な紫外線防御対策により防ぐことができるものです」と書かれています。これは環境省による紫外線の説明であって、特定の化粧品の効果を示すものではありませんが、日々の紫外線対策を続ける理由としては十分です。

同マニュアルは、UVインデックスが3〜5なら「日中は出来るだけ日陰を利用しよう」、6〜7なら「出来るだけ長袖シャツ、日焼け止め、帽子を利用しよう」という目安も示しています。日焼け止めについては「太陽に長時間あたるために使用するのではなく、紫外線を浴びることが避けられないときに、防止効果を高めるもの」という位置づけです。

化粧品の別表にも、「(36)日やけを防ぐ。」「(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。」という項目があります。日焼け止めの表示として認められている範囲は、ここまでです。

保湿でできることの範囲

乾燥でできた細かいシワが気になる場合、化粧品側で対応する項目は別表にあります。うるおいを与える・水分と油分を補い保つ・乾燥を防ぐ・キメを整えるという一連の項目です。「(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。」も、この延長線上に置かれた項目だと読めます。

逆に言えば、乾燥が原因ではない変化に、保湿の項目は対応していません。口元のゆるみや影の出方が気になる場合は、保湿を続けても見え方が変わらないことがあります。そこを化粧品の力不足と考えるより、原因が別のところにあると考えるほうが整理がつきます。

肌のゆるみという観点では、毛穴のたるみの話とも重なります。あわせて読むと、どこまでがセルフケアの範囲かが見えやすくなります。

マッサージや表情筋の運動はどうか

この記事を書くにあたって公的資料を探しましたが、マッサージや表情筋の運動でほうれい線が変化するという記述は、厚生労働省・環境省の資料には見当たりませんでした。効果がないという意味ではなく、公的資料で裏づけを確認できなかったということです。

そのため、この記事では具体的な手技を紹介していません。試す場合でも、強くこすったり引っぱったりするやり方は、肌への負担という別の問題が出ます。

医療機関で相談する領域

皮膚の構造そのものに働きかける処置は、化粧品ではなく医療機関で扱う領域です。注入やレーザーなどが該当し、判断や適応は医師が行います。気になる変化が乾燥によるものか、それ以外かの見立ても含めて、皮膚科・美容皮膚科で相談するのが確実です。

また、口元の変化が短期間で急に進んだ、左右差が出てきた、しびれや動かしにくさを伴うといった場合は、見た目の問題として扱わず医療機関にご相談ください。

まとめ

ほうれい線の消し方を考えるときの出発点は、化粧品が表示できる効能は56項目に限られ、シワに触れられるのは「乾燥による小ジワを目立たなくする」だけという事実です。そこからできることは、紫外線対策を続けることと乾燥を防いでキメを整えることに絞られます。それ以外の変化が気になる場合は、化粧品を替え続けるより、医療機関で相談するほうが近道です。

※本記事は厚生労働省・環境省の公開資料を編集部が整理したもので、医学的な診断や、特定の商品の効果を保証するものではありません。肌の状態や感じ方には個人差があります。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。

出典
  1. 厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日・薬食発0721第1号/群馬県掲載)(2026-10-16確認)
  2. 厚生労働省医薬食品局審査管理課長・監視指導麻薬対策課長通知「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」(平成23年7月21日・薬食審査発0721第1号/薬食監麻発0721第1号/岐阜県掲載)(2026-10-16確認)
  3. 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)(2026-10-16確認)