更年期のイライラはなぜ起こる?原因と対処法、婦人科に相談する目安

更年期・ゆらぎ公開:2026年10月30日編集:キレイジャーナル編集部
自宅のリビングで、手を額に当てて少し疲れた様子で考え込んでいる40代後半〜50代の女性。更年期のイライラや気持ちの揺れを感じている場面のイメージ写真。

※画像はイメージです。症状のあらわれ方・程度には個人差があります。

些細なことで腹が立つ、家族に強く当たってしまう、気持ちが落ち着かない——更年期の時期には、こうしたイライラが起こりやすくなることがあります。背景には、女性ホルモン(エストロゲン)のゆらぎと、自律神経の乱れ、そしてこの年代に重なりやすいストレスがあるとされています。自分の性格や努力不足のせいと決めつける必要はありません。ここでは、イライラが起こる理由、うつとの違い、婦人科で相談できること、受診の目安を整理します。

更年期にイライラしやすくなる理由

更年期は、閉経の前後5年ずつ、合わせて約10年間を指す時期の呼び方です(更年期障害とは何か、症状の全体像はこちら)。日本産科婦人科学会は、更年期障害の主な原因を女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくことと説明しています。

ただし、ホルモンだけが原因とは限りません。加齢による体の変化に加えて、精神的・心理的な要因、家庭や職場などの社会的な要因も複合的に関わると考えられています。

自律神経の乱れが関わるという説

自律神経は、呼吸や心拍、血流など、体の機能を調整するしくみです。女性ホルモンの分泌は脳の視床下部がコントロールしており、女性ホルモンが減ると自律神経の働きにも影響が出るという説があります。気持ちの切り替えがうまくいかない、些細な刺激に過敏になる、といった感覚の背景に、こうした変化があると考えられています。

ストレスや睡眠の変化が重なりやすい

この年代は、子どもの独立や体力の衰えなどのストレスが重なり、更年期の症状が強く感じられることがあるとされています。また、ほてりや発汗などがきっかけで深く眠れないことが多いとも説明されています。眠りが浅い日が続けば、心に余裕がなくなるのは自然なことです(更年期の眠気・不眠についてはこちら)。

イライラは「こころの症状」のひとつです。 学会の解説では、更年期障害のこころの症状として、気分が落ち込む、意欲が低下する、イライラする、情緒が不安定、眠れないなどが挙げられています。珍しいことではありません。

イライラのほかに起こりやすい変化|生理の変化も目安に

更年期の症状は、心だけでなく体にも現れます。ほてり・のぼせ・発汗、頭痛、肩こり、疲れやすさなどが同時に出ることもあります(更年期の頭痛についてはこちら)。イライラと一緒にこうした症状があるときは、更年期の影響を考える手がかりになります。

月経(生理)の変化

更年期にさしかかると卵巣の機能が低下し始め、月経周期は短くなり、さらに機能が低下すると周期は長くなって、最終的に閉経を迎えるとされています。学会は、40歳を過ぎて月経周期が不順になり始めたら、更年期にさしかかっている可能性がありますと説明しています。

生理の周期が乱れ始めた頃から、気持ちの波を感じるようになる人もいます。生理の記録をつけておくと、受診したときに状況を伝えやすくなります。

※一般に説明されている内容の整理であり、診断の基準ではありません。当てはまるかどうかは医療機関で確認してください。

更年期のイライラと、うつの見分け方

気分の落ち込みや意欲の低下は、更年期の症状としても、うつ病としても現れることがあります。自分で「更年期だから」と決めてしまわず、必要なら専門家に相談することが大切です。

厚生労働省の「こころの健康」のページでは、うつ病の症状の目安として、次のような項目を挙げています。

同ページでは、次のうち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談することをお勧めしますとされています。「死にたい、消えてしまいたい」という気持ちがあるときは、時間をおかずに相談してください。

また、動悸や不安などの症状は、更年期だけでなくストレスや不安症、内分泌の病気などでも起こることがあります。原因の見当をつけるためにも、受診して調べてもらう意味があります。

※上記は受診を考える目安であり、診断ではありません。判断は医師が行います。

婦人科で相談できること|ホルモン補充療法・漢方薬・向精神薬

イライラや気持ちの不安定さが日常生活に影響しているなら、婦人科の更年期外来に相談する方法があります。メノポーズ協会は、つらいと思ったら一人で抱え込まず相談するよう呼びかけています。症状や体質に応じて、次のような選択肢が説明されています。

ホルモン補充療法(HRT)

減っていく女性ホルモンを補う方法で、少量のエストロゲンを補う方法(ホルモン補充療法:HRT)です。日本産科婦人科学会は、ほてりや発汗に特に有効とされていると説明しています。一方、女性の健康とメノポーズ協会は、ストレスによる自律神経の乱れが原因のイライラには、効果を感じにくい場合があると説明しています。受けられるかどうかは、体の状態や既往歴によって異なるため、医師の判断が必要です。

漢方薬

漢方は、体質(証)に合わせて全身のバランスを考える方法です。更年期の症状には、たとえば加味逍遥散が、体力が弱く、疲れやすく、不安や不眠などの精神面の症状がある方に用いられるとされています。ほかにも当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などが体質に応じて用いられます。どれが合うかは人によって違うため、自己判断で選ばず、医師や薬剤師に相談してください。

服用を始めたあと、約2週間服用しても効果が感じられないときは、薬の変更や飲み方の調整を医師に相談できるとされています。むくみや胃の荒れなどが出たときも相談の目安になります。

向精神薬

こころの症状がつらい場合には、精神症状が辛い場合は、向精神薬が用いられます。種類としては抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などがあります。使うかどうか、どれを使うかは、症状の程度を見たうえで医師が判断します。

※特定の療法・薬の効果を保証するものではありません。どの方法を選ぶかは医療機関にご相談ください。

今日からできること|つらさを増やさないための工夫

受診と並行して、つらさを抱え込みすぎないための工夫もあります。これらは症状をなくすためのものではありません。

症状と生理の周期を記録しておく

イライラが強かった日、眠れなかった日、生理の周期や出血の様子を、メモやアプリに残しておくと、診察のときに状況を正確に伝えられます。

身近な人に状況を伝えておく

「更年期の時期で、気持ちが不安定になりやすい」と家族や職場の信頼できる人に伝えておくと、衝突したときに誤解が広がりにくくなります。一人で抱え込まず、頼れる人を増やしておくことも、ひとつの備えです。

イライラした直後に重要な判断をしない

強い言葉を返したくなったときは、その場を少し離れてから話すなど、時間を置く工夫もあります。性格の問題ではなく、体の状態が影響している可能性があると知っておくだけでも、自分を責めすぎずに済みます。

婦人科に相談する目安

どの診療科にかかればよいか迷うときは、まず婦人科(更年期外来)で相談し、日本産科婦人科学会によれば、症状に応じて心療内科・精神科などへの受診を勧められることもあります。男性にも「更年期」と呼ばれる不調がありますが、本記事は閉経に伴う女性の更年期を中心に扱っています(男性の更年期についてはこちら)。

まとめ

更年期のイライラは、女性ホルモンのゆらぎ、自律神経の乱れ、睡眠の変化、年代特有のストレスが重なって起こると考えられています。意志の弱さや性格のせいではなく、この時期の体の変化として起こりうるものです。

日常生活に支障が出ている、眠れない日が続く、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続く——そうした場合は、婦人科や専門家に相談してかまいません。ホルモン補充療法・漢方薬・向精神薬など、症状に合わせた選択肢を一緒に考えてもらえます。

※本記事は一般に公開されている情報を編集部が整理したもので、医師の診察や診断の代わりになるものではありません。症状が気になる場合、長く続く場合は医療機関にご相談ください。あらわれ方・経過には個人差があります。

出典
  1. 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害」(2026-10-30確認)
  2. 公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会「自律神経失調による症状」(2026-10-30確認)
  3. 公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会「ホルモン補充療法」(2026-10-30確認)
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」(2026-10-30確認)
  5. 厚生労働省「こころの健康」(2026-10-30確認)

個別の状態によって判断は変わります。具体的なことは医療機関でご確認ください。