※画像はイメージです。あらわれ方・程度には個人差があります。
急にドキドキする、脈が速くなった気がする——。更年期の動悸は、更年期障害の「からだの症状」のひとつとして挙げられています。ただし、原因はよく分かっておらず、心臓などの病気が隠れていないかを確かめることも大切です。この記事では、動悸について分かっていること、先に確かめておきたいこと、相談できる診療科と相談の目安を、公的な資料をもとに整理します。
閉経前後の計10年間を「更年期」と呼び、その間に現れるさまざまな症状のうち、特に症状が重く日常生活に支障をきたすものを更年期障害といいます。日本産科婦人科学会は、更年期障害の症状を大きく3つに分けて説明しています。
| 分類 | 主な症状の例 |
|---|---|
| 血管が開いて熱を放出するときの症状 | ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など |
| からだの症状 | めまい、動悸、肩こり、頭痛など |
| こころの症状 | 気分の落ち込み、イライラ、不眠など |
※日本産科婦人科学会の資料にある分類をもとに表にしたものです。診断の基準ではありません。
動悸は、この「からだの症状」の中にめまい・肩こり・頭痛などと並んで挙げられています。更年期障害の症状は多彩で、ひとりの人に複数の症状が重なることも少なくありません。更年期全体の症状の整理は 更年期障害とは?症状チェックリストと婦人科での対応・相談の目安 にまとめています。
「更年期は女性ホルモンが減るから、動悸も起こる」と考えたくなりますが、日本女性医学学会の資料の説明は少し慎重です。更年期の女性に、特に理由なく動悸や息苦しさが生じることがあり、その原因はよく分かっていないとしています。
さらに、「のぼせ」「ほてり」ほど、女性ホルモンの低下と深く関連するとは言えないとも説明されています。ほてりや発汗は更年期らしい症状としてよく知られていますが、動悸は同じ更年期の症状でも、背景が単純ではないということです。だからこそ、次に述べる「先に確かめておきたいこと」が大切になります。
更年期の年代は、動悸の原因がほかにあっても、「更年期のせいだろう」と受け止めてしまいやすい時期です。日本産科婦人科学会は、更年期障害の多彩な症状の陰に、何か深刻な病気が潜んでいないか、確認しておくことは大切だと呼びかけています。
日本女性医学学会の資料では、動悸や息苦しさについて、心臓や肺などの呼吸・循環器系の病気がないことが前提とされています。そのうえで、心電図、心臓の超音波検査、胸のX線検査などをまだ受けていない場合は、まず呼吸・循環器内科を受診することをすすめています。
※上のチェックは、受診を考えるきっかけを整理したものです。当てはまらなくても、不安が強いときは医療機関に相談できます。
日本産科婦人科学会は、更年期障害で困っているときは、ひとりで悩まず、お近くの産婦人科に相談するよう案内しています。日本女性医学学会の資料でも、産婦人科外来または更年期専門外来で対応できるとされています。
一方で、必要に応じて、産婦人科以外に内科、整形外科、耳鼻科、心療内科、精神科などの受診をすすめることがある、とも説明されています。動悸については、前の項目のとおり、検査が必要な場合は呼吸・循環器内科が案内されています。
| 状況 | 相談先の例 |
|---|---|
| 更年期かどうか、まず相談したい | 産婦人科・更年期専門外来 |
| 心電図などの検査をまだ受けていない | 呼吸・循環器内科 |
| どこに行くか迷う | かかりつけ医、または産婦人科に相談し、必要に応じてつないでもらう |
動悸は、単独ではなく、ほかの症状と一緒に出ることがあります。日本産科婦人科学会の分類では、動悸と同じ「からだの症状」に、めまい、肩こり、頭痛が含まれています。「動悸もするし、めまいもある」というときは、それらを別々の不調として切り分けず、まとめて相談先に伝えたほうが全体像が伝わりやすくなります。
頭痛については 更年期の頭痛はなぜ起こる?原因と、日常でできる対処・相談の目安 で詳しく整理しています。また、更年期は女性だけのものではなく、男性にも更年期の不調があるとされています。パートナーや家族の不調が気になる方は 男性の更年期とは?LOH症候群の症状とセルフチェック、受診の目安 もあわせてご覧ください。
動悸は、診察室にいるときに起こっているとは限りません。そのため、受診の前に、自分の状態を簡単に記録しておくと、説明しやすくなります。
日本女性医学学会の資料では、呼吸・循環器系の病気がない場合の動悸や息苦しさには、抗不安薬などの精神安定剤が用いられるのが一般的で、気持ちを落ち着かせるために、精神安定作用のある漢方薬が処方されることもあると説明されています。どの方法が合うかは人によって異なるため、診察のうえで医師と相談して決めることになります。
「更年期 動悸 サプリ」のように検索して、情報を探す方もいるかもしれません。消費者庁は、健康食品について、錠剤・カプセル状の製品を複数利用したり、医薬品的な効果を期待して利用したりしないようにしましょうと注意を呼びかけています。あわせて、広告のキャッチコピーや利用者の体験談のみを信用せず、成分の安全性と有効性を自分でも調べること、自己判断での医薬品との併用は避けること、不調を感じたら医師・薬剤師などの専門家に相談することをすすめています。動悸が気になるときは、サプリメントだけで様子を見るのではなく、先に医療機関で相談する順番が安心です。
更年期の動悸は、更年期障害の「からだの症状」のひとつとして挙げられています。ただし、原因はよく分かっておらず、ほてりやのぼせほど女性ホルモンの低下と深く関連するとは言えない、とも説明されています。
だからこそ、更年期のせいと決めつける前に、心臓や肺の病気がないかを確かめておくことが大切です。心電図などの検査をまだ受けていなければ呼吸・循環器内科へ、更年期の相談は産婦人科や更年期専門外来へ。動悸が続く・繰り返す、いつもと違うと感じるときは、様子を見すぎずに医療機関へ相談してください。
※本記事は一般に公開されている情報を編集部が整理したもので、医学的な診断や判断を示すものではありません。症状が気になる場合、長く続く場合は医療機関にご相談ください。あらわれ方・経過には個人差があります。
個別の状態によって判断は変わります。具体的なことは医療機関でご確認ください。