食品工場の仕事は何をする?HACCP義務化後の現場と給与の実際

現場の仕事公開:2026年10月23日編集:しごとのてびき編集部
白い衛生帽と作業着を着て、食品製造ラインで作業している人のイメージ写真。

※画像はイメージです。仕事の内容や設備は、扱う食品や工場の規模によって異なります。

食品工場の仕事は、製造ラインの作業だけではありません。2021年6月から、原則すべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務づけられたため、記録と手順の管理が日常業務に組み込まれています。ここでは、仕事の中身・労働時間・給与・安全面のきまりを、厚生労働省の資料と法令、国の賃金統計から整理します。

食品工場の仕事は何をするのか

工場勤務といっても、担当する工程で中身はかなり変わります。食品工場の場合、おおまかには次の区分になります。

求人で「工場 製造」と書かれていても、実際は検品・包装が中心ということもあります。応募の前に、どの工程を担当するのかを確認すると食い違いが減ります。

HACCPの義務化で何が変わったか

厚生労働省は、制度についてこう説明しています。「令和3年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者の皆様にHACCPに沿った衛生管理に取り組んでいただくことになりました。」

対象の範囲も示されています。「原則として、すべての食品等事業者が対象となりますが、一部、対象外となる事業者の方もいます」とされ、対象外の例として農業及び水産業における食品の採取業、食品等の輸入業、貯蔵・運搬のみの営業(冷凍・冷蔵倉庫業を除く)、常温保存で品質劣化の危害のおそれがない包装食品の販売業などが挙げられています。集団給食施設については、学校や病院等でない場合、1回の提供食数が20食程度未満の施設は対応が不要とされています。

食品を製造する工場は、ほぼすべてが対象です。現場の仕事としては、温度や時間を決められた頻度で測って記録する、手順書どおりに作業する、記録を残すという作業が日常に入ります。

「衛生管理が厳しい」は、裏を返せば手順が明文化されているということ。 未経験から入る人にとっては、何をどの順でやるかが書面で決まっているぶん、覚える道筋がはっきりしている面があります。いっぽうで、自己流のやり方は通りません。

工場勤務の労働時間はどれくらいか

国の賃金統計では、労働時間も職種ごとに集計されています。令和7年賃金構造基本統計調査の食料品・飲料・たばこ製造従事者(一般労働者・男女計・企業規模10人以上)は次のとおりです。

項目値
所定内実労働時間数月164時間
超過実労働時間数月15時間
平均年齢43.5歳
平均勤続年数11.5年
集計対象72万6,160人

所定内164時間に超過15時間を足すと、実際に働く時間は月179時間になります。交替制を敷いている工場では、早番・遅番・夜勤が入ることがあり、その場合は手当の有無で手取りが変わります。

給与の実際

同じ統計から、給与は次のようになっています。

項目男女計男性女性
きまって支給する現金給与額月28万1,000円月31万6,200円月23万2,400円
所定内給与額月24万8,900円月27万7,600円月20万9,400円
年間賞与その他特別給与額59万5,400円79万2,700円32万3,200円
集計対象72万6,160人42万1,080人30万5,080人

※厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種別集計(一般労働者・企業規模10人以上・産業計)より。パートタイム労働者は含みません。この調査は年収を公表していないため、12か月分と年間賞与を足した約396万7,000円(男女計)は単純計算の値です。

月額のうち、きまって支給する額(28万1,000円)と所定内給与額(24万8,900円)の差3万2,100円が、残業や交替勤務の手当にあたる部分です。求人票の基本給と比べるなら、所定内給与額のほうが近い数字になります。

安全面は法令で定められている

食品加工用の機械については、労働安全衛生規則に個別の規定があります。求人票では見えない部分ですが、職場を見るときの手がかりになります。

条文内容
第130条の2食品加工用切断機・切削機の刃は、切断に必要な部分以外に覆い、囲い等を設ける
第130条の5粉砕機・混合機の開口部からの転落のおそれがあるときは、蓋・囲い・高さ90cm以上の柵等を設ける
第130条の8ロール機の危険のおそれがある部分に覆い、囲い等を設ける
第130条の9成形機・圧縮機に身体の一部を挟まれるおそれがあるときは覆い、囲い等を設ける

いずれも事業者の義務として書かれています。見学や面接の機会があれば、機械に覆いや囲いがあるか、開口部の柵があるかを見ておくと、その職場が規定を守っているかの目安になります。

正社員・派遣・工場バイトで何が違うか

同じ工場でも、雇用の形で条件が変わります。

求人を比べるときは、同じ雇用形態どうしで比べることが前提です。正社員の月給とアルバイトの時給を並べても判断材料になりません。

まとめ

食品工場の仕事は、製造・検品・包装に加えて衛生管理と記録が日常業務に組み込まれています。2021年6月からHACCPに沿った衛生管理が原則すべての食品等事業者に義務づけられたためです。給与はきまって支給する現金給与額が月28万1,000円、年間賞与59万5,400円(令和7年・男女計)、労働時間は所定内164時間・超過15時間で、合わせて月179時間です。安全面は労働安全衛生規則に機械ごとの規定があり、覆い・囲い・柵の有無が職場を見るときの目安になります。

※本記事は法令および厚生労働省の公開資料・公開統計を編集部が整理したものです。金額・時間はいずれも令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・企業規模10人以上)の値で、個別の勤務先の条件を示すものではありません。

出典
  1. 厚生労働省「HACCP(ハサップ)」(2026-10-23確認)
  2. e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第130条の2・第130条の5・第130条の8・第130条の9(2026-10-23確認)
  3. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別 第1表(e-Stat)(2026-10-23確認)